伊勢志摩国立公園

1946
2026
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伊勢志摩国立公園は2026年に
指定から80年の節目を迎えます。

2026年11月20日に、指定から80周年を迎える伊勢志摩国立公園。リアス海岸や伊勢神宮の森をはじめとする、この地の自然は、ただ「美しい」だけではありません。
海を守り、山を育み、田畑を耕し、自然や神に感謝しながら生きる。海と山、そして人の営みが重なり合って生まれる「日常」こそ、この地の宝だと私たちは考えます。

区域の約96%が私有地という、日本でも稀有な伊勢志摩国立公園では、多くの人がこの地に暮らし、働き、自然とともに生きています。伊勢志摩の歴史は、自然と人との密接な関わり合いによって紡がれてきた物語そのものなのです。

80周年という節目に、この貴重な環境をあらためて見つめ直し、当たり前に感じる日々が、いかに特別なものであるかを再認識するきっかけとなれば幸いです。
そして、この日常が末長く受け継がれていくよう、私たちも地域とともに歩み続けます。

About
Ise-Shima
伊勢志摩国立公園について

三重県の南東部に位置する伊勢志摩国立公園は、伊勢市・鳥羽市・志摩市・南伊勢町の3市1町で構成され、伊勢神宮とその背後に広がる森林を中心とした内陸エリア、リアス海岸に代表される海沿いのエリアという、ふたつの表情をあわせ持つ国立公園です。
そして、伊勢志摩国立公園の最大の特徴として挙げられるのが、区域の約96%を私有地が占めるという点です。他の国立公園と比べても、この地には特に多くの人々が居住し、自然と密接に関わり合いながら生活を送っています。

伊勢市

01 伊勢市

森と川、祈りと営みが
ひとつの円を描くまち

市域の約8割が森林に覆われる、緑豊かな伊勢市。
その中でも約5,500ヘクタール、すなわち市全体の約4分の1を占めるのが、伊勢神宮の境内地を包む「宮域林」です。式年遷宮の御用材を育てる場であり、水を蓄え、命を育む森でもあります。森が健やかに保たれることで川が潤い、田畑が実り、やがて海へと流れ出す。豊かな海は人々の暮らしを支え、その恵みが神宮へと供えられる。そんな循環と共生が、伊勢の人々の暮らしと心に深く息づいています。

関係者の想い

株式会社岩戸の塩工房

百木 良太 さん

百木良太さん
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鳥羽市

02 鳥羽市

海と生きる島々の物語。
海女のふるさと、鳥羽

鳥羽市は、有人・無人を合わせた多くの離島と半島から成り立つ海のまち。黒潮がもたらす豊かな漁場を基盤に、古くから漁業を中心とした生活が営まれてきました。地域ごとに特色ある祭礼や習俗が受け継がれ、海と深く結びついた独自の文化が息づいています。なかでも素潜りによる海女漁は象徴的な存在。海とともに生きる知恵と技術が世代を越えて継承されてきました。いまも日本最多の海女数を擁し、地域のアイデンティティとなっています。

関係者の想い

鳥羽市立海の博物館
事務局長

石原 真伊 さん

石原真伊さん
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志摩市

03 志摩市

海を五感で感じ、知って学ぶ。
エコツーリズムの聖地

深い入り江が複雑に重なるリアス海岸が特徴の志摩市。穏やかな英虞湾(あごわん)と外海が隣り合う独特の環境は、多様な生態系と豊かな漁場を育み、波静かな湾は真珠養殖の発展を支え、地域の暮らしを形づくってきました。近年はこの自然を舞台にしたエコツーリズムや環境学習の機会が広がり、訪れた人々は五感で海を感じ、地形や生態系への理解を深める。そんな新しい観光の可能性を探るフィールドとしても注目を集めています。

関係者の想い

東海中学校

中井 梁花 さん

中井梁花さん
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南伊勢町

04 南伊勢町

山の幸と海の幸が巡る。
御食国の豊かな暮らし

急峻な山々がリアス海岸まで迫る力強い地形を持つ南伊勢町。山と海が隣り合う環境によって、里山と里海の資源が循環し合う豊かな自然が育まれてきました。古くから朝廷や伊勢神宮に海の幸を献上してきた御食国のひとつで、温暖な気候を活かしたみかん栽培や沿岸漁業が根づいています。とりわけ真鯛養殖は黒潮分流の恵まれた環境を基盤に発展し、全国有数の産地として町の経済を支える産業です。

関係者の想い

内瀬柑橘出荷組合
アサヒ農園 園主

田所 一成 さん

田所一成さん
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History 伊勢志摩国立公園
80年のあゆみ

  • 1946
  • 1951
  • 1964
  • 1970
  • 1993
  • 1999
  • 2001
  • 2009
  • 2016
  • 2025
  • 1946昭和21年

    戦後初の国立公園が誕生
    自然を守り、未来へつなぐ歩みのはじまり

    戦前から「美しい海と森を未来へ残したい」という願いを胸に、伊勢志摩国立公園の実現に情熱を注いだ人々がいました。その中心となったのが石原円吉。第二次大戦後にはGHQや厚生省にくり返し働きかけ、伊勢志摩の自然と神域保護の重要性を訴え続けました。その熱意が実を結び、終戦からわずか1年後の1946年11月20日、伊勢志摩は国立公園に指定されます。翌年には「伊勢志摩国立公園協会」が設立され、地元の事業者たちが力を合わせて自然保護と地域再生に向けて歩みはじめました。伊勢志摩の宝である森と海が、再び息を吹き返すときを迎えたのです。

  • 1951昭和26年

    真珠島・志摩観光ホテル・鳥羽水族館が開業
    占領下に差した観光再興の光

    世界の真珠王・御木本幸吉が「ミキモト真珠島」を試験的に開放したのは1950年5月。当時の来訪者は進駐軍関係者をはじめとする外国人が中心でした。翌1951年3月には一般公開が実現。同年4月には国際観光ホテル法のもと、戦後初のリゾートホテル「志摩観光ホテル」が営業を開始し、11月には天皇陛下もご宿泊されました。1955年には、「鳥羽水族館」が開業。戦後の混乱の中に生まれたこれらの施設は、伊勢志摩の観光再興へ希望の光をともしたのです。

  • 1964昭和39年

    伊勢湾台風からの復興と観光ブーム到来
    伊勢志摩スカイラインが全線開通へ

    1959年に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風から復興を遂げ、高度経済成長の真っ只中ともいうべき1964年。伊勢志摩国立公園にも新たな転機が訪れました。10月には、内宮と朝熊山山頂、そして鳥羽を結ぶ有料観光道路「伊勢志摩スカイライン」が全線開通。翌月には、鳥羽と愛知県渥美半島を海上で結ぶ「伊勢湾フェリー」も運航を開始しました。さらに「鳥羽国際ホテル」などの施設も次々に誕生。観光ブームの追い風を受け、伊勢志摩は多くの人が憧れるリゾートとして輝きを増していきます。

  • 1970昭和45年

    大阪・名古屋と志摩市の賢島を結ぶ
    直通特急列車の開通へ

    1970年に大阪で開催された「日本万国博覧会」と時を同じくして、大阪や名古屋など関西・中京圏と賢島を直通で結ぶ、近畿日本鉄道の特急列車が運行を開始します。この新たな路線の開通にあわせて、賢島カンツリークラブや志摩マリンランドをはじめ、英虞湾めぐり遊覧船、旅館、キャンプ場、海水浴場など、様々なレジャー施設が誕生しました。この伊勢志摩国立公園の発展を象徴する一連のできごとによって、伊勢志摩への入込客数は前年よりも大幅に増加し、同地は日本を代表する観光地として更なる脚光を浴びることとなりました。(写真提供:近鉄グループホールディングス株式会社)

  • 1993平成5年

    伊勢自動車道の全線開通が結実
    多様なレジャーと文化が花開く時代へ

    1993年に伊勢自動車道の勢和多気IC〜伊勢IC間が開通し、翌年には伊勢・二見・鳥羽ラインも全線開通。同時期には、鳥羽水族館の移転・新設や、伊勢神宮内宮前に江戸から明治時代の町並みを再現した「おかげ横丁」、宿泊・温泉・テーマパークを備えた複合リゾート「志摩スペイン村」がオープン。いずれも地元企業や民間の発想から生まれたもので、地域の魅力を活かした新たな滞在スタイルを創出しました。自然と人の営みを大切にしながら、伊勢志摩観光の多様性と活気はさらに広がっていきます。

  • 1999平成11年

    横山ビジターセンター開館
    自然と人のつながりを伝える拠点として

    伊勢志摩が国立公園に指定されてから半世紀を経た1999年、環境庁(現:環境省)が設置主体となり、志摩市阿児町鵜方に「横山ビジターセンター」が開館しました。地域の自治体や伊勢志摩国立公園協会と連携し、伊勢志摩の自然・文化・人の暮らしが織りなす物語を伝える展示や体験プログラムを展開。2022年の大規模リニューアルでは、「海女文化」「真珠養殖」「神宮の森」など、地域を象徴するテーマをより深く、立体的に紹介する施設へと生まれ変わりました。伊勢志摩の自然と人の営みを学び、未来へつなぐ拠点として、多くの人に親しまれています。

  • 2001平成13年

    海島遊民くらぶ始動
    伊勢志摩から広がるエコツーリズムの輪

    エコツーリズムの先駆けとして知られる「海島遊民くらぶ」が始動したのは2001年のこと。リアス海岸を舞台に、シーカヤックや離島探訪などを通じて、自然を体感しながら地域の暮らしにふれる体験を提供してきました。2004年には「島の旅社」が設立、2005年には「志摩自然学校」が開校し、体験型観光が地域に定着。国立公園指定70周年を迎えた2016年には「全国エコツーリズム大会 in 伊勢志摩」が開催され、伊勢志摩での取り組みを発信しつつ、自然と共生する観光のあり方を見つめ直す契機となりました。

  • 2009平成21年

    第1回海女サミット開催
    海女文化を継承する一歩に

    日本におよそ1200人いる海女のうち、約500人が暮らす鳥羽・志摩地域は「海女に出逢えるまち」として知られています。2009年、この地で全国初となる海女サミット「日本列島“海女さん”大集合 海女フォーラム 2009 in TOBA」が開催されました。日本各地や韓国からも海女が集い、海女文化の未来や環境保全をテーマに熱い議論を交わしました。その後、2017年には「鳥羽・志摩の海女漁の技術」が国の重要無形民俗文化財に指定。海女文化を守り、次世代へ継承する取り組みがいまも続いています。

  • 2016平成28年

    伊勢志摩サミット開催
    持続可能な観光で“特別な日常”を未来へ

    2010年代に入ると、伊勢志摩国立公園は再び脚光を浴びることとなります。2013年に斎行された第62回式年遷宮では、参拝者数が約1420万人と過去最高を記録し、地域に大きな活気をもたらしました。さらに、2016年5月には、賢島の志摩観光ホテルで第42回先進国首脳会議「伊勢志摩サミット」が開催され、各国首脳とファーストレディらが伊勢神宮を訪れるなど、伊勢志摩の自然と文化の魅力が国際的にも注目を浴びたのです。しかし、数年後に訪れるパンデミックによって、地域に大きな打撃を与えることになりました。

  • 2025令和7年

    新型コロナウイルスの流行を経て
    80周年を迎える伊勢志摩のいま

    まだ人々の記憶にも新しい2020年、新型コロナウイルスの流行によって観光客が激減し、地域経済も大きな打撃を受けました。しかし、感染拡大が落ち着くにつれ観光は回復し、伊勢神宮内宮の前で栄える「おはらい町」は、かつての賑わいを取り戻しました。近年は自然や文化に惹かれる海外旅行者も増加傾向にあります。2026年には国立公園指定80周年を迎える伊勢志摩。自然と人の営みが生み出す“特別な日常”を未来へつなぐため、持続可能な観光のあり方――その模索は続きます。

Anniversary Projects 80周年記念事業のご紹介

  • 実施期間令和7年7月〜

    伊勢志摩TSUTAE隊結成(皇学館大学CLL活動)

    伊勢志摩管内の小学生4〜6年生約4,000人を対象に、皇学館大学の学生が現地で学びながら、「ふるさと教育ツール(下敷き・学習パンフレット)」を企画・開発し、子どもたちへ届けるプロジェクト。現地調査や伊勢まつりでのPRを経て、令和8年3月に完成予定です。

  • 実施期間令和7年7月21日(月)

    鳥羽水族館ラッコのメイちゃんPR大使任命式

    その愛くるしい姿から、鳥羽水族館のアイドルとして知られるラッコのメイちゃんが、伊勢志摩国立公園指定80周年記念事業のPR大使に就任。任命式では大勢の観覧者が見守る中、伊勢海老やイカを飾り付け、中央に「80」の数字をあしらった特製アイスケーキが贈られました。

  • 実施期間令和7年11月20日(木)

    80周年記念広報媒体のお披露目イベント

    今年で8回目となる石原円吉賞表彰式に合わせて、Happy Birthday伊勢志摩国立公園イベントを開催。鳥羽市ゆかりの推理小説家の江戸川乱歩にちなんで、名(メイ)探偵に扮したPR大使「ラッコのメイちゃん」のイラストや、80周年記念ロゴマーク、ポスターをお披露目しました。

  • 実施期間令和8年3月14日・11月21日

    80周年記念エコツアー

    地域の子どもたちに伊勢志摩国立公園の魅力を感じてもらえるよう、令和8年3月14日にシーカヤックツアーなどの体験イベント「里海里山体験フェスタ〜ふれる・楽しむ・未来へつなぐ〜」を公園管内各所で同時開催します。同年11月21日にもエコツアーイベントを実施予定です。

  • 実施期間令和8年4月頃を予定

    帆船「日本丸」の体験乗船会

    地域の子どもたちを対象に、鳥羽港に寄港する大型帆船「日本丸」の体験乗船を実施します。この機会を通して、伊勢志摩国立公園ならではの海洋文化や、豊かな自然と歴史に触れる貴重な体験を提供することで、自然環境への関心を育み、次世代の環境保全意識の醸成を図ります。

  • 実施期間令和8年4〜11月を予定

    ふるさと探求!国立公園教室

    小学生が伊勢志摩の自然、暮らし、産業などについて興味や関心を持ち、現地を訪れるなどして自ら調査・研究を行います。その探究の成果をプレゼンテーション資料にまとめ、代表として選ばれた数校が、2026年11月20日に実施される80周年記念式典にて発表を行う予定です。

  • 実施期間令和8年10〜12月

    80周年記念ハイキング

    近畿日本鉄道株式会社と連携し、伊勢志摩国立公園管内の伊勢市、鳥羽市、志摩市、南伊勢町を全4コースに分けて、自然や歴史文化を巡るハイキングを開催します。ご家族やご友人とお楽しみいただけるプランを絶賛企画中。詳しい内容は令和8年夏頃に発表予定です。

  • 実施期間令和8年11月20日を予定

    80周年記念式典

    指定80周年を迎える令和8年11月20日、地域住民と関係者が集い、伊勢志摩の貴重な自然環境を改めて見つめ直し、その価値を共有しながら、当たり前の日常の中にある特別さを再認識する機会を設けます。そして、この日常が未来へ受け継がれるよう、新たな一歩を踏み出す日とします。

Discover
Eco-Tourism
エコツーリズムへの取り組み

伊勢志摩国指公園指定80周年という節目を迎えるにあたり、
伊勢志摩でエコツーリズムを実践し活躍する人に光を当て、
その取り組みや現場の様子を交えた映像を制作中です。
公開は2026年2月頃を予定しています。

Archives 80周年記念広報媒体のご紹介

ポスター

伊勢志摩国立公園を象徴する「海女」「リアス海岸」「伊勢神宮」「伊勢海老」を現代アート風にグラフィック化したポスターを作成しました。三重県内はもちろんのこと、伊勢志摩管内の全小中学校をはじめ、伊勢志摩地域を中心に掲出されており、一度目にしたら忘れられない大胆なデザインが特徴です。

海女のまちへ、ようこそ。

海女のまちへ、ようこそ。

海の恵みは、祈りの中に。

海の恵みは、祈りの中に。

神宮の森に、耳をすませて。

神宮の森に、耳をすませて。

リアス海岸が紡ぐ、人と海の物語。

リアス海岸が紡ぐ、人と海の物語。

パンフレット

伊勢志摩国立公園の美しい自然や、神宮と深い関わりを持つ独自の文化は、まさに“伊勢志摩にしかない特別な日常”といえるでしょう。そんな伊勢志摩の魅力を再発見し、未来へと継承していくために、記念パンフレットを作成しました。パンフレットは伊勢志摩管内の全中学生にも配布を行います。また、来春には小学生向けパンフレットを4~6年生の全児童に配布予定です。

指定80周年ロゴマーク&PR大使

80周年を記念して、伊勢志摩国立公園を象徴するリアス海岸の景観をモチーフにしたロゴマークを作成しました。
さらに、鳥羽水族館のアイドル「ラッコのメイちゃん」がPR大使に就任。可愛らしいイラストとなって、80周年記念事業を盛り上げてくれます。

伊勢志摩国立公園指定80周年ロゴマーク

伊勢志摩国立公園指定80周年ロゴマーク

ラッコのメイちゃん

ラッコのメイちゃん
80周年記念事業PR大使